犯人当て小説⓪

「T口くん、ちょっと」

「なんだいN島くん」

「最近僕が推理小説に凝ってるのは知ってるだろ」

「そうなのかい」

「好きが高じて自分でも一本書いてみたんだよ」

「嫌な予感がするね」

「よかったら読んでみてくれないかい」

「そらきた、僕は忙しいんだよ」

「心配いらないよ、いつでも読めるように自宅と職場に10部ずつ送り届けるよ」

「分かったよ読ませてもらうよ、だけどもしつまんなかったらトイレットペーパー代わりにしちまうよ」

「いいとも、これは犯人当てになっててね、上手く犯人とその理由を指摘できたら景品を贈呈するよ」

「楽しみだなぁ、しかしなにより作者たる君との頭脳戦に負けるなんて僕のプライドが許さないよ、これは腕まくりして読む必要がありそうだね」